279人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの⋯⋯冷は私のこと、何か言ってた?」
しつこいって、鬱陶しいって友達に愚痴ってるかも。ストーカー女に付き纏われてるとか。
「いや、何も」
⋯⋯⋯⋯無関心、か。興味を持ってすら貰えない。
冷の中には、私の存在なんて1ミリもないのかもしれない。
「心ちゃんって冷の昔の友達なんだよね?」
頷きながら思う。私のこと、冷じゃないなら朔也さんに聞いたのかな。そういえば名字は書いてないのにここまで届けてくれたし。
同じ学校だし、仲がいいのかも。
「びっくりしたでしょ、あいつ昔と全然違うし。前はもうちょっと雰囲気も柔らかかったんだけどね」
「⋯⋯昔の冷を知ってるの?」
「知ってるよ。もう10年くらいの付き合いになるし」
———————10年?
じゃあこの人は、冷が引っ越した時から今まで冷とずっと一緒にいたってこと?
朔也さんは冷のこと、「全部は知らない」って言ってた。もしかしたら高校からの付き合いなのかもしれない。
⋯⋯⋯⋯でもこの人は全部知ってる?
冷が嫌がっても、私に冷のことを教えてくれたりするのかな。
「冷のこと、知りたい?」
そんな私の内心などお見通しらしく、彼は笑顔でそう言った。
最初のコメントを投稿しよう!