冷の世界

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「あの⋯⋯冷は私のこと、何か言ってた?」 しつこいって、鬱陶しいって友達に愚痴ってるかも。ストーカー女に付き纏われてるとか。 「いや、何も」 ⋯⋯⋯⋯無関心、か。興味を持ってすら貰えない。 冷の中には、私の存在なんて1ミリもないのかもしれない。 「心ちゃんって冷の昔の友達なんだよね?」 頷きながら思う。私のこと、冷じゃないなら朔也さんに聞いたのかな。そういえば名字は書いてないのにここまで届けてくれたし。 同じ学校だし、仲がいいのかも。 「びっくりしたでしょ、あいつ昔と全然違うし。前はもうちょっと雰囲気も柔らかかったんだけどね」 「⋯⋯昔の冷を知ってるの?」 「知ってるよ。もう10年くらいの付き合いになるし」 ———————10年? じゃあこの人は、冷が引っ越した時から今まで冷とずっと一緒にいたってこと? 朔也さんは冷のこと、「全部は知らない」って言ってた。もしかしたら高校からの付き合いなのかもしれない。 ⋯⋯⋯⋯でもこの人は全部知ってる? 冷が嫌がっても、私に冷のことを教えてくれたりするのかな。 「冷のこと、知りたい?」 そんな私の内心などお見通しらしく、彼は笑顔でそう言った。
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