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「よお、怪我は大丈夫か?まあどうせお前の血じゃねえんだろうけど」
「てめぇ何考えてる」
「冷のこと知りたいんだってさ」
「⋯⋯⋯⋯」
「お前が拒むなら、俺が教えてあげようかと思って」
冷は怖いくらいのオーラを放っていた。
怒って当然だ。私のしつこさに心底うんざりしてるに違いない。
私は会話に口を挟む余地がなくて黙ったままで、2人のやりとりをただ見ていることしか出来ない。
「余計なことするな」
「怒るなよ。お前に殴られたらさすがに無事じゃ済まないのはわかってるし、今日はもう帰るよ」
「⋯⋯⋯⋯」
「でもその前に2人で話せば?俺はちょっと離れてるから」
「必要ない」
それと同時に「っ!」突然腕を掴まれて引き寄せられる。
「冷?」
「来い」
「で、でも⋯⋯」
「いいから」
戸惑いながら静を見ると「ばいばい」と笑顔で手を振ってくるだけで。言う通りにするしかない。
「心、また会いに行くよ」
私を呼んだ静の声に冷が一瞬ぴくりと反応したことも、それに気付いた静が笑みを深めたことも。
冷に必死でついて行く私は当然気付くはずもなかった。
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