冷の世界

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「いい加減にしろ」 「———!」 グッと顎を掴まれて一気に顔が近づく。だけど甘い雰囲気なんて程遠いくらい、冷は本気で殺気立っていた。 「人の過去探ってんじゃねえよ」 「っい、た⋯⋯い」 「本気で犯してやろうか」 強い力に顔が歪む。痛い、痛い。冷たい瞳にまた泣きたくなる。 でも⋯⋯⋯ 「⋯⋯⋯⋯いいもん。冷になら何されたっていい!それでそばに置いてくれるならそうするよ!」 私の言葉が予想外だったのか、冷の手が一瞬緩む。その隙を見て、その手を掴んで無理やり自分の胸に重ねた。 「さあどうぞ!お好きに触ってください!」 「⋯⋯おい」 「む、胸は物足りないかもしれないけどっ、でも抵抗なんてしないから!」 言いながら、身体全体が震えていた。自分でも何を言ってるのかわからないし、ほとんど勢いでこんなことになってしまって驚いていた。 だけど驚いてるのは冷も一緒で「やめろ」と言った声は少しばかり戸惑っているように聞こえた。 バチっと手を振り払われて、それからうんざりしたように息をつく。そんな姿もとても絵になる程、冷は綺麗だった。 「お前なんか抱く気にならねえよ」 「⋯⋯っ、そうだよね。冷が穢れちゃうもんね。冷の周りには綺麗な人がいっぱいいるんだし、物足りないよね」 「⋯⋯⋯なんでそこまで俺にこだわる」 ——————なんで? そんなの、私だって知りたいよ。説明なんて出来ないよ。 ただ、冷と一緒にいたいだけなんだよ。
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