自宅

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自宅

アゲルディの家は、まるで絵本から飛び出してきたお菓子の家のようだ。 壁はクッキーのような形状で、クッションはマカロン、ライトはシュークリームの形をしている。 此処に戻れば沢山の友達がいる。アゲルディは、「友達」という存在を、とてもとても大事にしているのだ。 「みんな、ただいまー!」 板チョコレートのような玄関のドアを開けると、靴を脱ぎながら真っ暗なリビングに走る。そして、電気を点けた。 「今日も疲れちゃった。私、頑張ったよ」 そう言って、一番傍にいた「友達」に抱き着く。腰元にすがるようにしてぎゅっとしがみつく。「友達」は答えてはくれない。答えるために使う口が、もうないからだ。 首から上は、アゲルディがいつか、切り落としてしまった。 この部屋には、何人も「友達」がいる。ソファに座っている者、立っている者――ポーズは色々だ。しかし全て首から上がない。 アゲルディは「友達」を大事にする。「友達」が悩んでいれば寝ずに話を聞き、「友達」の家まで駆けつける。だが、「友達」がそうであるとは限らない。 アゲルディの話を聞かず、他の「友達」と楽しく出かけていることすらある。そうすると、アゲルディは、その頭を切り落としてしまうのだ。 もう、彼女らの声が聴けないのは悲しい。だが、二度とアゲルディの意にそぐわぬ行動を取ることはない。そう思うと、アゲルディは、やっと彼女らと「本当の友達」になれた、と感じ、ほっとすることができるのだ。 家は、好きなものに囲まれて、くつろげる場所であることが一番である。
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