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そんな私の行動に満足したのか、笑顔になった彗は私を大きな身体に閉じ込めた。
「ありがとう、璃玖!これで今日も部活頑張れるよ!」
「彗は大袈裟だなぁ。…部活、頑張ってきてね」
「おう!璃玖、気をつけて帰れよな!」
「はーい」
美川彗は、高校生になって付き合うことになった私の彼氏だ。きっかけは、彗が私に好意を寄せてくれたことを知って。それからいろいろあって付き合うという形になったのだ。
本当に、直向きで、---可愛い人だな、と思う。
彗は過保護だ。私が帰宅するというシンプルな行為にでさえ、心配して、必ず“気をつけて”という。優しいというか、世話焼きというか、---そういう性なのだろう。
そんな優し過ぎる彗の言葉を“無視”して、私はとある空き教室に向かう。
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