ククナのぽかぽか日記

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9/30 お迎えしてから初の半日お留守番の日。猫のことなどを調べるなどして仕事などこれっぽっちも手につかなかった俺は小走りで帰宅。 するとどうだろう、お弁当箱の歌のおにぎりよろしく昨日買ってすぐケージにねじ込まれたテント型のペットハウスが倒壊しているではないか!なんならその下のクッションを敷き詰めた籐籠までひっくり返っている。その下で主犯であるククナ嬢は呑気に水を飲んでいた。まあお転婆さんなこと。怪我がないのならよしとしよう。 今日は妻に相談し、トイレの処理をやってみる事にした。だが、ケージを開けると即座にククナは脱走を試みて、俺の腕の横をすり抜ける。ぽかぽかと暖かく柔らかな胴体を両手で掴み、そっとケージの奥に置いてやるも再び飛び出してくる。埒が明かん! 俺は一度ケージを閉じ、冷静に対策を考えた。 このまま手をこまねいていては、ククナがトイレを我慢してしまい、幼くして膀胱炎などの病気になってしまうかもしれない。それじゃあ可哀想だ。脱走するかもだとか引っかかれたりするかもなんか気にしている場合じゃない。かわいい愛猫のためなら指の一本や二本くれてやるわッ!! 俺は覚悟を決めるとこれまで手につけていたビニール手袋を外し、素手でスコップを掴み、トイレの中で固まった砂を掬い上げた。猫はガサガサと鳴るビニール袋が大好きなので、きっとこの音に過剰反応してしまうに違いない。そう踏んだところこれが大当たり。今までのはしゃぎようが嘘のように、お利口さんに俺のトイレ掃除を見守っていた。やがて砂をかき集め終え、除菌スプレーを撒いて作業完了。額の汗を拭い時計を見遣ると、なんと1時間も経っていた。いくらなんでもかけすぎだ。妻など3分以内に終わらせられるというのに…。ククナもよく怒らずに待っていたものだ。 次はもっと早くやってみせるぜ、ククナ。 そうリベンジを誓った俺の意志を知ってか知らずか、ククナはか細い声で「ナンッ」と鳴いたのだった。
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