10月

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10月

10/1 今日はどうしてもジムに行かねばならない日だったため、帰宅後ククナがうんちをしていないことを確認してからすぐに出かける準備をしていた。するとどうだろう、ククナがか細い声で呼び止めようとするではないか。「またどこか行っちゃうの?もっと遊んでよぉ…」と言っているのがひしひしと伝わってくる。とてつもなく心が痛む。後ろ髪を引かれるとはこのことか。俺は迷いを振り切りながら家を飛び出し、タスクを速攻で片付けるべくジムへと走り出した。 1時間後、俺と妻はほぼ同時に帰宅。俺が調理に取りかかっている間に、妻がククナの世話をすることになった。ちなみにククナは妻の姿を見るやいなやトイレに入った。どうやら俺にはトイレの世話は任せられないと判断したらしい。三ヶ月にしては賢明な判断だ。そう思いながら遠巻きに見守っていると…ククナは妻の腕をすり抜けて部屋へと猛然と駆け出した。 ククナ選手、3日目にして早くも脱獄を決行! 恐ろしく素早い動きで仕事終わりの社会人2人を翻弄するククナ。自由を手に入れた猫の本気を目の当たりにした人間は、なすすべなくその後を追いかけるしかなかった。しかも一度捉えた後、ケージに戻したら再び脱走!一日に二度も脱獄する者などそういないだろう。お転婆にも程がある。攻防の末ようやっとお縄についたが、人間側の疲労はとてつもないものだった。ククナは普段なら11時にはうとうとしているのに、未だ興奮冷めやらぬとばかりにつぶらな瞳を爛々と輝かせている。 脱走されたら2人がかりじゃないと捕まえられない。明日からのトイレ掃除は、より一層慎重を期してかからなければならなさそうだ。 ……しかし、ククナを迎えてからというものの、ずっと気管支が苦しい。生活に支障が出る程ではないものの、楽ではないのが正直なところ。サイベリアンはアレルギーが出にくいと聞いていたが、どうやら必ずしもそうとは限らないようだ。 ククナは何も悪くない。俺も何かしらの対策を講じなければ……。
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