竹から生まれた女と桃から生まれた男

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「ただいま」    夫の声で目が覚めました。  子どもの寝かしつけのため、灯りを消して適当な話をでっちあげているうちに、子どもも自分も寝てしまったようです。 「今日はどんな話?」 「かぐや姫と桃太郎MIX」 「なぜまぜるのか」 「二冊同時に読んだみたいでお得になるかと」 「将来、なにかのタイミングで『自分の知ってる童話はこれじゃない』って腑に落ちない思いをするよ」  それでいいのかという夫の視線には気づかないふりをして、私は今日の話を振り返りつつ、明日はどんな話をしようかなって考えてみました。 (桃太郎に、おかえりを言わせてあげたかったな……)  桃男の恋愛がはたして月の姫に通じるかはわかりませんし、友情エンドかもしれないけどそれもまたよし。  明日はどうにかして、二人が再会する方向で話をでっち上げてみようと、決めました。  
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