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「ただいま」
街を見下ろす高台には、大きな銀木犀の木が生えている。その近くの霊園に置かれた墓石に、白い可愛らしい花が添えられていた。
この街を離れて結構時間が経った。少しだけ変わった建物と、昔のままの景色の中、わたしは街を歩き始めた。
高台を降りたすぐの道沿いに、赤いオーニングが可愛らしい建物が見えてくる。わたしが子供の頃からあるカフェで、店の前を通るといつもいい匂いがしたものだ。
そっと窓から中を覗くと、壁に掛けられたヒマワリの絵が見える。シンプルな内装は以前と少しも変わっていない。
あの時、わたしは一番奥のテーブル席に座っていた。大学のレポートを仕上げていたわたしの前に、急に彼は現れたのだ。
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