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プロローグ
紗夜と祐基の出会いはネットだった。
お互いの趣味を通じて意気投合し、住んでいるところもそんなに遠くないことからオフ会をしたことをきっかけにますます仲を深めた。
毎日のように連絡をし、時間が出来れば通話をする。そんな何気ない関係だった。
オフ会で出会ったときの紗夜は24歳、祐基は21歳。
年の差はあったものの、二人の間にジェネレーションギャップと呼ばれるものはほとんど起きないほどフィーリングが合っていた。
二年ほど前からネットで交流をしていたおかげか、初対面の時ですら前から会ったことがある友人のように楽しく過ごせた。
互いのタイミングとお金の都合が合えば毎回遊んでいる関係。
恋人とはまた違ったこの関係が二人にとってはとても居心地がよかった。
いつまでも二人で楽しく、ぬるま湯のような関係が続くと思っていた。あの日過ちを犯すまでは……。
その日も互いにタイミングが合い、お金にも余裕があった。
だから、いつものように遊びに出かけていた。
しかし、その日はなぜか二人とも酒でも吞みたいなと話し、珍しく呑みに居酒屋へ向かってしまった。
それがだめだった。
二人ともそこまで酒が強いわけではない。
だから普段吞む機会が少なかった。
そのせいで飲む量を見誤った。
酔いが覚めて、真っ先に気づいたのは見知らぬ部屋に居たこと。
隣に素っ裸のいつも一緒に馬鹿騒ぎをしてくれる友人がいたこと。
先に起きた祐基は顔を真っ青にした。
後に起きた紗夜も頭を抱えていた。
気まずい雰囲気の中、二人は無言で服を着る。
そして、ギクシャクとしたまま別れた。
その後、紗夜が祐基に連絡を送るものの、既読は付くが返事は二度とこなかった……。
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