きみとわたしの特別

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不意に口を開いたかと思えば、その少ない言葉。わたしの机に肘を乗せて、手のひらに顔を預けてコテンと首を傾ける。 ……わたしより、いや全世界の女の子よりあざとい。さらに距離が近くなって、わたしの息が届いてしまいそうで、心臓の音が聞こえてしまいそう。まぶしいきみが近すぎて、まともに顔なんか見れない。 「う、ん、何?」 カタコト、不自然、意識してるのきっとバレバレだ。たぶん顔も赤くなってる。カーテンを越えて差す太陽の光でごまかせてればいいけど、望み薄。 あざといきみはきっと余裕で、勝手にどきどきして焦って余裕がないのはわたしだけ。 「理咲が誕生日に行きたいところは水族館?」 「……え、水族館、え、なんで……?」 一瞬言葉に詰まった、びっくりして。穏やかに、小さくふわりと笑ったまま言うからわたしはまたパニックだ。 水族館、というワードが蓮くんから出てくると思わなくて、わからなくて。思ってもみなかった話題、なんで蓮くんがこのこと知ってるんだろう。 つい最近、果音とこの話をしたばかりだ。もうすぐわたしの誕生日で「もし彼氏がいたらどこ行きたい?」って聞かれたから「水族館に行きたいな」って答えたばかりなの。 果音にしか言ってないようなこと、なんで知ってるんだろう、蓮くんが。
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