きみとわたしの特別

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「ずるくていいから聞かせてよ」 「……ばか、わたし、ずっと……」 勝てないから。たぶん、どうしたって蓮くんには勝てない、とずっと心の中で放浪していた気持ちを言葉にしようとした。 わたしの口元に、きみの手が伸びてきて、それ以上言葉を紡ぐのを阻止されてしまった。わたしの唇に触れるきみの人差し指。 そこから熱が広がっていく感覚。きみがわたしに触れたのはきっと初めてだ。 「やっぱだめ、言わないで。……好きだよ、理咲」 人差し指が、離れる。離れてしまったことを名残惜しく思いながらも、自然と言葉があふれてくる。 「……ずっと、蓮くんがわたしのこと好きだったらいいのに、って思ってた……。絶対届かないんだって。ずっとずっと、好きなの、前からずっと、蓮くん」 「理咲、急によく喋るね。うん、嬉しい。理咲のそういうとこ好きだよ」 わたしは口にしてから恥ずかしくなってうつむいてしまうのに、蓮くんは相変わらず余裕たっぷりわたしに笑いかける。 これからはこの笑顔もひとりじめしていいの? さっきみたいにきみの手がわたしに向かって伸びてくる。 熱い頬に触れられて身体を揺らしてしまうのも、きみの体温を感じられるのも、わたしだけ? 他愛のない会話をきみの隣でするのも、好きって言葉をもらうのも、全部。 ずっと追っかけてきた一方的な視線とはさよならして、いい?
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