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小中高、ずっと追っかけてきた。いつもきみは輪の中心にいて、誰とでも仲良くなれて誰にでも優しくて、誰からも頼られて好かれる素敵なひと。
果音に言われた通り、蓮くんって呼ぶのは高校ではわたしだけなんだ。それだけがわたしと蓮くんの特別で、絶対離したくない。
……そんな"特別"にも答えがあって、中学までは全員疑うこともなく"蓮くん"って呼んでた。
何も特別じゃないのに、そこに縋ってるんだ、少しでもきみの中で他とは違う子でいたくて。
蓮くんと小中同じなのはわたしだけ。小中は蓮くんのことを名前で呼ぶのが当たり前だったけど、高校に入るとみんな彼のことを"藤原"と呼んだ。
この空間でだけは蓮くん、と呼ぶ特権のようだけど、本当は全然違って唯一小中高と同じ学校に通うだけの、クラスメイトAちゃんでしかないんだ。
それと、もうひとつ、肩書きをつけるとしたら、彼にとってわたしは。
「えっやば!! 次英語だった! 課題やってないよ〜〜〜!!!」
さっきまでの不満そうな顔から一点、焦りを全開にはっつけたお人形さんみたいに可愛い、わたしの親友。
……蓮くんにとってわたしは、"好きなひとの、親友"。
ずっと、見ていたからわかる。
蓮くんがいつも目で追っているのは果音で、たまに間違ってわたしと目が合ってしまうとすぐになかったかのようにそらされる。それが現実を突きつけられるようで、辛くなる。
今日もまた、わたしは叶わない恋を諦められない。
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