きみとわたしの特別

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ぽかぽか陽が差す放課後の教室で、わたしはひとり居残り。といっても補習だとかそういうものじゃなくて、日誌を書かなきゃいけない日直のお仕事だ。日直は放課後に日誌を書いて教室の戸締りをしなければいけないルールがある。 回ってくるのは二ヶ月に一回だけ、大変ではないけど、授業終わりと暖かさが共謀してわたしに睡魔を向けてくる。すぐに書いて帰りたくなる、そんなちょっとだけ面倒なお仕事。 「えーっと……1時間目は、国語、っと……、え、」 「……理咲(りさ)、」 "国"まで書いて、"語"を書こうとしたその瞬間に、それをすることは不可能になった。人の気配なんてまるでなかった教室、急にわたしの後ろに人の気配を感じたかと思ったらすぐに、わたしの持っていたペンが奪われた。 頭上から伸びてきた手に、いとも簡単にペンは奪われてわたしはそのまま固まってしまう。取られた時に少しだけ触れた指がわかりやすく熱を持つ。 ペンを奪われたと同時に降ってきたわたしの名前を呼ぶ声が大好きで心地よくて、理咲って名前を世界でいちばん特別にするんだ。 その声のせいで、一瞬で頭が真っ白になって、わたしは金縛りにあったかのように動けない。
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