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「「すみません!」」
少し焦ったような声が聞こえて、相手の顔を見た結衣は固まった。
1組の天沢翔だ。
翔は、同じクラスになったことがなく人との交流が少ない結衣であっても、顔と名前を知るほどの有名人である。
顔立ちの整ったイケメンで、コミュ力が高く、サッカー部に所属していて運動神経抜群、とくれば、当然のように女子からモテる。少なくとも同じ学年の女子は、全員が翔のことを知っているだろう。
そして、明るくてノリの良い性格のためか、男子からの人気も高いようだ。
「翔、固まってないで、早く拾えよ。」
翔の後ろにいた男子が翔に声をかけた。どうやら翔の方も驚いて固まっていたみたいだ。
声をかけたのは、翔とよく一緒にいる男子だ。少しチャラチャラしているような印象がある。
その彼が、床に落ちていた荷物を拾い集めて手渡してくれた。
そして、お互いにぶつかったことを改めて謝った後、結衣は自分の教室に向かった。
ーーそして、今に至る。
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