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ノートを取り違えてしまったことに気がついて頭が真っ白になっていた結衣は、我に返って時計を見た。
針が指しているのは、授業開始時刻の2分前。
結衣のクラスは4組、翔のクラスは1組で、教室はそれほど離れていない。
……今なら間に合うかもしれない。
そう思った結衣だが、廊下でぶつかったときに、翔が教科書やノートを持っていたことに思い至った。そのことから考えるに、5時間目の授業は移動教室だろう。
……終わった。
結衣が焦っている理由は、ただ他の人のノートを持ってきてしまったからというだけではなかった。
結衣にとって、あのノートの中身だけは、誰にも見られたくないものなのだ。特に、天沢翔には。
入れ替わってしまったのが他のノートであったならば、結衣はこんなにも焦っていなかっただろう。
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