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──小さい頃、近所の公園でよく一緒に遊ぶ
おにいさんがいた。
おにいさんは黒く長い前髪を目の下まで伸ばしその奥に潜む涼しげな瞳と三日月のように笑う大きな口が印象的な人。
たまに服の袖から覗く白い肌と黒髪のコントラストは、原色の遊具で溢れる公園にはなんだか不釣り合いで、当時からとても奇妙なものだった。
だけどもその大きな口から紡がれる間延びした話し方や、時々どこか遠くを見つめるような瞳と哀愁は幼いながらに「これが大人の男の人か」と思ったのを覚えている。
今思えばその雰囲気は所謂「幸せな人」から醸し出されるものではなかったなぁ、と大人に片足を突っ込んだ年になって、しみじみ感じたのだった。
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