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ちろりと赤い舌を出して、白濁を、舐める。
「やめ、ほんと、勘弁して……くださ……ぃぃ……」
絞り出した言葉は途中からほとんど涙声だ。語尾が小さく消えていく、肩も縮こまらせて、なんならこのまま自分自身も消えてしまいたい。一生分の恥ずかしさを一気に経験し尽くしてしまったような感じがした。
こんなことなら永遠に気を失っていたかった。
繁華街の隅の、見るからに若者御用達という風体の小綺麗でありながら安っぽいラブホテルで、知らない男のひとと、私は一体なにをやっているんだろう。
ああ、そういえば約束があったんだった。時計は見える位置にはないけれど、きっともう間に合わない。どのくらいこの部屋にいるのだろう。
一度欲望を吐き出したためか、現実逃避か、頭のなかが妙に冷静になって、つらつらと思考が回りはじめる。約束をすっぽかしたこと、なんと釈明したらよいのか。
彼は結局ティッシュを一枚も無駄にすることなく、手のひらで受け止めた私の体液をすべて口に含み、あっさりと飲み下した。仕上げとばかりに、汚れた唇を拭うように舌先をぐるりとひと舐めする。その仕草はいやに扇情的だ。
「耳まで真っ赤になってる。かわいいね」
少し甘く、ひどく嗜虐的な音で、小悪魔は囁く。
「あんた名前は?」
「え? 日比小春……」
「普通、この状況であっさり答える? わかってる? 日比さん、いまレイプされてんのと変わらない状況なの」
「ご、ごめんなさい?」
「なんで謝ってんの。変わってるね」
よほどおかしかったのか、くすくすと笑いだす。また、花が咲いたみたいに可愛い。彼の笑い声に揺れた空気が、鼻腔を刺激するように甘い匂いを強調させる。
ああ、可愛い、触れたい。抱きしめたい。
ぐちゃぐちゃになったスカートのしたで、一度しぼんだはずの性器に再び熱が集中していくのを感じた。
なんで、困惑しているうちにもすぐに先ほどまでの硬度と大きさを取り戻していく。下着の外にはみ出たそれはスカートの薄い布地を直接突きあげる。
「あーあ、また勃っちゃってる。元気だね、日比小春さん」
「ひうっ」
スカートごと掻き抱くように握られる。ぐ、と力がこもる。まるで握り潰そうとでもするかのように。
「っく、ああ」
「そんなに俺に突っ込みたいんだ?」
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