泥濘む

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 もっと強い刺激が欲しい。電流みたいな快感が全身にびりびり流れる、我を忘れるくらいの強い刺激が。そうでなければおかしくなってしまう。強烈なフェロモンが私を蝕む、眩暈がする、身体じゅうが熱い、汗がじんわりと滲む。 「完全に発情してる」  さゆが零した言葉は限りなく独り言に近かった。 「本能に支配されたアルファってほんと、厄介」  刹那、ぐるりと視界が反転した。手首の拘束が解かれ、自由になった身体を檻で囲うように、顔の横にさゆが両手をつく。  先ほどまで見下ろしていたはずの彼が、今度は私のうえに覆い被さって、妖艶に笑った、それがはじまりの合図だった。  今までの仕返しとばかりに荒々しい手つきで、スカートが腰もとまで捲し上げられる。ベージュのストッキングと下着が一緒に太腿までずり下げられ、晒された秘部に躊躇いなく、男の手が触れる。  勃ちあがった性器を強い力で掴んで痛いくらいに扱きながら、もう一方の手がさらに下に隠れた蜜口に挿し入れられた。 「あうっ」 「こっち、ぐちょぐちょになってる」  細長い指が内壁を引っ掻いては、抜き差しを繰り返す。いきなりで、どこまでも乱暴なだけの指づかいだけれど、痛みなどはまったく感じない。内部で指が蠢いた分だけ快感が駆け巡り、だらしなく開いたままの口の端から嬌声が零れる。 「んあっ、……あ、……きもちい、っあ、もっと……っ」 「強請らなくてもしてやるから、大人しくしてろよ」  両手がそれぞれ別の生き物みたいに器用に動いて、外からと内からと、どちらにも絶え間なく強い刺激が与えられ、 「っや、あ、いっちゃ……っ!」  ひときわ早くなる指の動きが、瞬く間に私を絶頂へと押し上げる。視界に火花が飛び散り、急激に膨らんだ射精感がちりぢりに弾けた。  直立した性器の先端から勢いよく白濁液が噴き出し、黒いスラックスを汚し、ストッキングに流れ落ちる。  仰向けになったまま、乱れた呼吸で喘ぐように息をしながら、呆然と天井を見上げると、過剰なほどの光量を放つ蛍光灯の青白い光が網膜に灼きついた。  粗暴な手扱きによって果てたそれが硬度を失う一方で、吐精と同時に指を抜かれた内側が、まだまだ足りないのだと強請るようにうねっている。奥の奥がじくじくと疼く。
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