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差し出された小指はすらりとして長かった。その指に指を絡めるとサラッとして温かくて心地よくて、自分の汗ばんだ指で触れるのが恥ずかしくなるくらいだ。
「指切りげんまん嘘ついたら針千本のーます、指切った。そんじゃあ、始めようか」
「はぁー……」
策太は大きなため息をつき、制限時間切れで画面が暗くなったSwitchを置いて、ごろりと寝転んだ。サッカーを辞めたせいでやることがないのに、ママは「見守り機能」を使ってSwitchに使用時間制限をかけた。一日たった一時間のゲーム時間。なのに、全然身が入らなかった。昼間に頭を使いすぎたせいだ。
一局軽く打ってもらうはずが五局になった。ボロボロに打ち負かされたのが悔しくて策太からもう一局もう一局とせがんだ結果だ。
あらかじめ9子も置かせてもらって勝負をしたのに、石の繋がりをズタズタに切られて惨憺たる有り様の完敗ぶりだった。整地をして勝敗を確かめるまでもない。策太の黒石は全部白に取り囲まれ、息も絶え絶えだ。気づいたらこうなっていた。
石を集めて碁笥にしまったあと、
「検討をしようか」
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