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階段を昇りきっても既読すらつかない。自室に入り、服を着替えたが母からの返信はない。またケータイ不携帯で外出中の予感。仕方ないのでふたたび一階(した)に降り、洗面所で顔を洗い髪にワックスでニュアンスをつけたところで母から電話があった。 案の定、犯人は母だった。数日前、買い物に行ったスーパーで母は友人に出会った。そして世間話をしたところ、友人の友人の息子がかつて晴海の通っていた「竜胆ヶ丘こども囲碁教室」で碁を習っているのだが近頃棋力が伸び悩んでいると知った。そこで母は彼女に言った。 「囲碁ならうちの下の子が強いから、ちょっと教えてやれって、言ってあげようか?」
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