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囲碁道具の上に置いてあったタオルを策太に投げてよこした。生地に大きなブランドロゴの入ったスポーツタオル。やっぱりこの人は何かスポーツをやっているのかなと策太は考えた。タオルで顔を拭くと、策太の家のとは違う洗剤の匂いがした。 フローリングの広く開いているところに晴海は碁盤を据え、その両側にぽいぽいとクッションを置いた。碁盤は木製で脚付きの立派なものだった。その上にのっている白い木箱から晴海は二つの碁笥をそうっと取り出した。焦げ茶色の地に木目がくっきりと浮いた碁笥は光を受けてつやつやと照り輝いていた。 「すげぇだろ」 「うん」 それがどれほど高価なものかは策太にはわからないが、とても美しいものだということだけはわかる。 「策太、そこの布巾で手を拭いたらこっちに座って」 晴海が碁盤を挟んで向かいを指で指した。策太は言われた通り手を拭いて、晴海の向かい側に腰を下ろした。 「足は崩していいよ」 と言う晴海も片膝を立てたラフな姿勢で座っているので、策太も正座からあぐらに足を組みかえた。 「策太は棋力はどれくらい?」 「17級」
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