台所に、父が立つ

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台所に、父が立つ

「だだいま、母さんは?」 家に帰ると台所に父が立っていたので、思わず尋ねた。 「母さん、おじいちゃんたちが急に体調を崩したらしくて、看病に行ったんで、今晩は、父さんが作るけど、いいよな」 「母さんがいないなら、無理せず出前にしたら」 「いや、どれくらい母さんが、むこうに居るか分からないだろ」 「でも、台所を勝手に触ったら、母さん怒るんじゃない」 「大丈夫だ。母さんはそんなことでは怒らないよ」 「なら、何に怒ってるんだろうね、母さんは?」 「は、何言ってるの」 「忘れたの、父さん、僕、そういうのが、見えるんだって」 「!」 「まず、おばあちゃんに電話して、容態を聞いてみようか。それとも、おばあちゃんのそばにいるはずの母さんのスマホにかけてみようか。もしかしたら、すぐそばで鳴ったりして」 「お、お前!」 父さんは、カッとなって僕も殺そうとしたが、母に助けられ、父が死んだ。
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