きっとロンドンで

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 人生で一番最初の記憶。  それは、画面上に映し出されたロックスター、アーロン・イースターだった。  アーロンは、生意気にカメラに目配せして、縦横無尽にステージを駆けまわる。 端末の音量をめいっぱい上げる。  すると、彼の音楽が、言葉が、魂が、耳を介して、私という容器に流れ込んでくる。  それから、また、アーロンはマイクを抱えた。そうするだけで私は、彼に抱かれているような心地になる。外の雨の音なんて全然気にならなかった。  耳元でささやくのは、ラブソングだ。  くらりとして、切なくなって、私は、たちまち深いところに落とされた。 「ロンドンに行きたい!セッションしたい!」  これが、私が人生で一番最初にしゃべった言葉だった。  その日からアーロンとセッションするための計画を立て始めた。  まず、最初の3年間でギターの練習をする。そして、その後の3年間でお金を貯める。目標貯金額は1000万円。  1000万円を貯めたら、私はロンドンに飛ぶ。そこで、アーロンに会って、セッションをお願いするのだ。
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