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小さいときからずっとそうだったわけではない。無口ではあったが、親を遠ざけるような態度ではなかった。むしろ親に甘えるところが多かっただろう。
だが、子供も成長すれば視野が広がってくる。世間が狭い間は親が唯一の絶対的な基準だが、次第によりどころにするものが増えてくる。
中学校に上がれば、それはいよいよ顕著だ。学校が変わり、先生も変わり、教科も変わり、別の小学校から来た友人も増えて、部活も始まる。世界が一変し、外との付き合いが大事になってくる。徐々に親の番付は下がり、うとましく感じることも多くなる。
高校で出会う世界はさらに大きい。親との距離は開くばかりだ。とにかくこの家を出たい、親から離れて暮らしたい、そして、遠くへ、もっと広い世界へ出ていきたいという思いばかりが募っていた。
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