習慣

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 強い思いが受験勉強を支える力になったか、無事大学に合格した僕は、一人暮らしを始めることになった。家を出ることは僕にとって既定路線であり、至極当然のことだったので、それほどの感動も喜びもなかった。淡々と準備をし、当日を迎えた。  相変わらず、行ってきますも言わないで家を出たが、バス停に向かいながら、 「もうここに戻ってくることはないかもしれない。」 などと、感傷的なことを考えたりもした。  育った場所を離れて見知らぬ世界に向かう道は、多くの人がたどらねばならない道だろう。僕も、たどらないわけにはいかなかった。
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