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ふと、目の前に新たな皿が置かれた。その瞬間、ユージィの思考は途切れた。デザートが運ばれてきたのだ。先程の若い銀髪のウェイターがデザートのプレートを運んできた。
「デザートのフッチェのミルリーフでございます」
デザートの見た目は美しいが、どこか不思議な形をしている。複雑な層がいくつも重なり、色鮮やかなゼリーやクリームが交互に輝いていた。それぞれの層が別々の味を表現していることが一目でわかった。全てが一つに繋がり、一つの物語を描くような不思議なデザートだ。
ユージィは不思議な複層に惹きつけられ、フォークを手に取った。恐る恐る一口を運ぶと、最初に感じたのは、思い出の中の味……彼が若い頃に憧れていた絵画の味がした。懐かしさが込み上げ、胸が締め付けられる。口の中に広がるのは、かつて夢見た世界の断片。それが、今の自分には手の届かないものであることを改めて実感させる。
彼は静かにフォークを置いた。
「この層は過去なのか……」
次の層を味わってみた。それは彼が現在直面している苦悩と似ていた。ビジネスの成功、家族の期待、そしてその重圧がすべて濃縮されていた。一瞬の甘さが感じられるものの、その後には苦味が押し寄せてくる。まるで今の自分を嘲笑うかのような複雑な味わいだった。
「これは……今の俺……」
彼はテーブルに目を落とした。デザートを食べるだけなのに、その行為がまるで人生をもう一度生き直しているような感覚だった。
そして、最後の層が残っていた。それは薄いガラスのような透明な層で脆さを感じさせた。フォークで割ると、中から柔らかいクリームが流れ出てきた。それを一口食べた瞬間、ユージィは驚愕した。
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