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パチパチパチ、という拍手。
「頑張れよー」「やったれ!」など励ましの言葉が飛び交う。
そもそもチームをこんな状況にしてしまった原因はわたしにあるわけで、「はい…がんばります」と弱々しく答えるしか道はない。
会議が終了し、「ちょっといいか」と沖さんから声が掛かる。
別室のミーティングルームに呼ばれ、「突然すまなかったな」とホットコーヒーを渡され、デスクを挟んで座った。
「ミーティングで皆に伝えた通り、忍をチームに入れたことは、過去のことは関係ないから」
「沖さん、」
「資料も一から作ってもらう。
今日からコンペ当日まで彩葉をこっちに呼ぶから、頑張ってくれ」
無理です、と弱音を吐くことも出来ず、頑張ります!と請け合うことも出来ない。
困り果てて俯いていると、頭をポンポンとされた。
「自信持てよ。お前ならやれると思ったから指名したんだ。
このルーム、一週間ずっと貸し切ってるから。
彩葉が来たらここ使って。
あー、一応、基本ドアは開けとくように。
密室にしてまたヘンな噂が立たないとも限らないからな」
そう言って颯爽と沖さんが出て行ったところで、はぁぁぁぁ、と深く長い溜息を吐きデスクに突っ伏した。
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