挽回コンペ

3/10
前へ
/125ページ
次へ
パチパチパチ、という拍手。 「頑張れよー」「やったれ!」など励ましの言葉が飛び交う。 そもそもチームをこんな状況にしてしまった原因はわたしにあるわけで、「はい…がんばります」と弱々しく答えるしか道はない。 会議が終了し、「ちょっといいか」と沖さんから声が掛かる。 別室のミーティングルームに呼ばれ、「突然すまなかったな」とホットコーヒーを渡され、デスクを挟んで座った。 「ミーティングで皆に伝えた通り、忍をチームに入れたことは、過去のことは関係ないから」 「沖さん、」 「資料も一から作ってもらう。 今日からコンペ当日まで彩葉をこっちに呼ぶから、頑張ってくれ」 無理です、と弱音を吐くことも出来ず、頑張ります!と請け合うことも出来ない。 困り果てて俯いていると、頭をポンポンとされた。 「自信持てよ。お前ならやれると思ったから指名したんだ。 このルーム、一週間ずっと貸し切ってるから。 彩葉が来たらここ使って。 あー、一応、基本ドアは開けとくように。 密室にしてまたヘンな噂が立たないとも限らないからな」 そう言って颯爽と沖さんが出て行ったところで、はぁぁぁぁ、と深く長い溜息を吐きデスクに突っ伏した。
/125ページ

最初のコメントを投稿しよう!

729人が本棚に入れています
本棚に追加