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けれど、デスクに置かれたままの2つのコーヒーを見つけた彩葉さんの表情が曇る。
「これ、」
「あ、すみません。すぐ片付けますね」
「沖さん?」
「えっ、と、はい」
なんだか気まずい雰囲気。
そうだ、彩葉さんに沖さんのこと───
「あの、沖さんのことなんですけど」
「コンペが終わったら、聞かせて」
「えっ?」
「沖さんのこと、俺尊敬してて。それが元カレとか…何聞いても落ち込んで仕事にならない」
「や、でも」
「とにかく今は、コンペに集中しよう」
「…わかりました」
気まずいままだったらどうしよう、と思ったけれど、そこはさすがの彩葉さん。
すぐに切り替えて、「早速だけど」と指示をくれる。
「今日は総務部と経理部、営業部を一通り見学しておいで。
話は通してあるから」
「見学?どういうことですか?」
「今回のテーマは事業改善改革だろ。
まずは課題を見つけて来てごらん。
まあ、すぐにいくつも見つかると思うけど」
「そんなプレッシャーかけないでください〜!」
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