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お互いの盛大な勘違いもあり、はじめはぎこちなさがあったものの、時間と共にお酒が進むに連れ、わたしも本領を発揮。
向こうも最初は遠巻きにわたしを眺めていたものの、わたしから「ちょっといいですか!」とケンカ腰に声を掛け、隣の席を陣取り、絡み酒を始めたのをきっかけに、徐々にぽんぽんと悪態を返してくるようになった。
「返してください、わたしの初恋」
「初恋は幼稚園の翔くんだろ」
「何故それを!?
憧れの女上司に騙されました〜男だった上にストーカーされていた件」
「ふっ、売れなそうなラノベのタイトル」
「ラノベ読んでんじゃねえよ」
「上司に対する口の利き方」
「さーせん」
「よろしい」
「よろしいのかよ」
「オイ」
◇
あっという間に2時間が過ぎ、1次会はお開きになった。
店を出たところで、2次会に行くために集まる人達、タクシーを呼んだり駅へ千鳥足で向かう帰宅組の人達。
そんな中、彩葉さんが、少し気まずそうに「あのさ、」と声を掛けてきた。
男女2人はさすがにまずいだろ。
だから2次会は、とでも言ってきそうな雰囲気をぶった切る。
「───行きますよ、2次会。」
「えっ?」
どっちの?という戸惑いが窺える。
「だって予約しちゃったし!」
「は、でも」
「大丈夫です、襲ったりしませんから」
「イヤそれ俺のセリフな」
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