憧れの上司

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憧れの上司

◇ 時は一週間前に遡る。 「忍、来週末のプロジェクトの懇親会は参加する?」 「もっちろん」 「彩葉さんも参加するもんね」 「うふふ」 ああ顔が緩んでしようがない。 「2次会までお店押さえてあるらしいけど。 じゃあ2次会も行くかんじ?」 「あーそっちの2次会はパス」 「そっちの?他に2次会があるの?」 「んふふふふ」 「…きも」 同期の今井紗菜(いまいさな)は、心底キモそうにわたしを一瞥したあと、それ以上は突っ込むことなくこの場を立ち去った。 まあ失礼過ぎるのはお互い様、いつものことだ。 「さて、」 わたしも自席正面に座り直し、パソコンの画面に向かう。 けれどどうしたって、彩葉さんとのチャット履歴の文字が視界に入り、仕事モードにキリッとさせた姿勢も表情も、デレッと崩れてしまうのだった。
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