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Side 凪
あかりには軽度の記憶の混濁が見られたが、過呼吸は収まった。
そのことに安心して車に下ろした途端、また様子が変わった。
ー・・車に乗ることがダメなのか、はたまたこの車がダメなのか・・。
混乱状態のあかりは俺を俺として認識していない様子だった。
ー・・誰を重ねて見ていたのか・・水瀬か、母親か・・。
力を制御するタガが外れているのか、普段からは考えられない力で逃れようとする。
だが、所詮はあかりだ。
押さえつけて宥めすかす。
ー・・この場に湊が居たことは不幸中の幸いか。
運転を任せて俺はあかりを落ち着かせることに徹した。
帰る頃にはすっかり落ち着いたが、これは良くなっているのではなく、むしろ悪化していると考えたほうがいいだろうな。
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