渦―UZU― Ⅱ【完】

引き金

「・・あいつは、あかりはどうなったんだ？」

「さぁな」

「さぁなって！なんだよそれっ！」

「喚くな。あかりが眠れないだろ」

チラリとソファーを見やると、さっきからピクリとも動いていないようだ。

「・・何らかの要因により、あかりの中で固く閉ざされていた記憶の扉が開いた。
その心因的ストレスとショックにより過呼吸が起きた。
それに連動してパニックに陥り、今現在心神喪失状態。
・・これでいいか？」

「・・治るのかよ」

「それは誰にもわからない」

俺には多少の知識があるだけ。

もちろん専門医でも何でもない。

長引くようなら病院にも連れて行くが・・この状態でできることはそんなにないだろう。