発熱

2/34
前へ
/399ページ
次へ
はぐらかして立ち去ろうとする湊の腕を掴んだ。 きっと重要な何かを隠している、そう感じた。 「嘘。知ってるんでしょ?教えて」 「・・わかった。教えてやる。だから・・」 大きな手のひらが私の視界を奪った。 「・・そんな目で見るな」 急に耳元で囁かれた湊の声が鼓膜を震わせる。 視界を奪われた状態でより鮮明に響くその声は、ほんの少しの切なさを含んでいる気がした。 混乱する私の視界はすぐに明るさを取り戻した。 ー・・なんだったの・・?
/399ページ

最初のコメントを投稿しよう!

113人が本棚に入れています
本棚に追加