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真一は遂に幸せ犬の顔を見た。それは柴犬でもコーギーでもゴールデンレトリバーでもない、小型犬のチワワの顔。
「どういうことだよ」
家に帰り、自分の部屋で布団を敷きながら恭介は呟いた。
ゆきちゃん、春貴、悠士、そして真一。みんな違う種類の犬を見ている。苺のケーキ、新作のゲーム、百点のテスト、一万円。犬の全体象を見る毎に、彼らにとっての幸せも豪華にランクアップしている気がする。
まだ話を知らないだけで、他に幸せ犬を見た者はきっといるだろう。けれど唯一、幸せ犬と鬼ごっこをしたという話だけは聞いたことがない。
鬼ごっこをしたらどうなるのか。もし幸せ犬に負けたら、とんでもない不幸を背負わされたりするのだろうか。やつに捕まったら一体どんな目に遭ってしまうのか。背筋が寒くなると共に、どうしても一度見てみたいという気持ちが、恭介の中でゆっくりと膨らんでいった。
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