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絵葉書やお酒のラベルのようなものが貼られている中、端にピンで挿しぶら下がっていたのは、黒猫のチャームだった。
見覚えのあるそれは、私がバレンタインに渡したチョコレートのラッピングについていたものだ。
ホワイトデー付近に雪那さんと来た時は、お返しにとカクテル(もちろん私はノンアル)を一杯ご馳走になった。
その時には気付かなかったな。
黒崎さんに視線を移すと、ばちっと目が合う。
私がチャームに気付いたのを気付いたようで、少し口角を上げながら「はい、どーーぞ」と2つカクテルを差し出した。
翔哉のは、ライムを浮かべたジントニック、私のは、ニットワンピに合わせてか、バイオレットベースのカクテルだった。
「いただきます」
翔哉と軽くグラスを合わせ、口に付ける。
うん、美味しーい葡萄味のノンアルカクテルです。
翔哉が、くいっと自分のジントニックを半分程飲んだところで、私のカクテルグラスに手を伸ばした。
「瑠花、それ味見させて」
え。
一瞬固まった私の返事を待たず、翔哉は私の手からグラスを取り去り、そのカクテルを口に含んだ。
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