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マンションまでの道のりを、二人でケタケタと笑いながら歩く。
「藤崎、あの無自覚の可愛さ半端ねえな」
「頬膨らましてぷいって、あれは反則だよね。しかも本人は至って大真面目なんだもん」
またヒーヒーと、笑い合う。
散々笑って、はぁ、と一息ついて。
「……でも、翔哉は知ってたんだね。その、黒崎さんが、、」
「あー、な」
「ごめんね、ちゃんと言ってなくて。
私にノンアルしか出してないのも、知ってたの?」
「薄々な。バーから帰って瑠花とキスすると、いつもアルコールの味がしなかったからな。なんか拘ってんのかな、とは思ってた。
まぁ、瑠花が全く藤崎に靡いてねえから、全然安心してたけど」
そんなことで、バレるなんて。
恥ずかしさで、顔の熱が上がる。
「……私は翔哉に首ったけだからね」
「瑠花、可愛い」
「黒崎さんより?」
「藤崎の次に」
「えーー?」
ここでまたアハハと笑い合う。
そして徐に、「瑠花」と私の肩を抱き寄せた。
「冗談だよ。瑠花が世界でいちばん可愛い」
「ふふ、うん。ありがと」
私は翔哉の胸にすり寄った。
そこで、気になっていたことを思い切って聞いてみることにする。
「あのさぁ、翔哉」
「ん、どうした?」
マンションはもう目の前だけど、立ち止まって抱き合ったまま、話を続けた。
「私たち、いつほんとの夫婦になる?」
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