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車で一夜を共に過ごしたことが、翔哉を更に煽る結果になってしまったようだ。
明け方前、車内で目を覚ますと、自分にしがみついて離れない私がいて。
それは、寝ぼけていただけなんだけどね?
寝落ちした自分と一緒にいてくれたということだけでも感動なのに、その上私が「翔哉、早く…して」と、寝言を呟いたとか。
それで火がつき、承諾も得たので(それも勘違いなのだが)行為に及んだ、という経緯だったらしい。
多分それ、
「翔哉、早く"ポイ"して」
と言っていたんだよね、、いや確実に。
その日から始まったアルバイトの送迎で、当然のように自宅アパートへ送られた時には、わかりやすく肩を落としてがっかりした。
こんなにあっさり自宅がわかってしまうなら、あの夜やっぱり素直に送って貰えば良かった。
もう、開き直るくらいに翔哉は、私のことを相当に気に入っていた。
「初めて会った時、雷に打たれたような錯覚に陥った」
って、それほんと錯覚だから。
実際雷鳴ってただけだから。
けれど、雷を怖がってしがみつく私が可愛くて、大事にしようと何もせず帰ろうとしたのに引き留めて煽ったのは瑠花だと言われたら、何も言えず俯くしかなかった。
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