溺愛の始まり

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「……何しに来たんですか。」 1か月ぶり、しかもまだ2度目の来店だと言うのに、マオくんも茶々もレオンも、今日はリリーちゃんまで黒崎さんの側にゴロゴロ喉を鳴らしてやって来た。 ふるふると嫉妬心に震える私をよそに「実はね」と猫達を軽くあやしながら、彼は本題に入った。 「ボスのことなんだけどさ。 もう瑠花ちゃん、正式にボスの女になっちゃおうか」 「───は?」 思いきり眉をしかめる私を鼻で笑い、黒崎さんは続けた。 「もうさ、溺愛されてるからわかるでしょ。 瑠花ちゃん、特別なんだわ。 そろそろ覚悟決めようか」 「そんなの…困ります。 そろそろ飽きる頃なんじゃないんですか」 「飽きるどころかどっぷりハマられてんの、自分でわかってんだろ」   ちょっとイラっとしたように吐き捨てられる。 やっぱり黒崎さんはコワイ。 味方なのかそうじゃないのか、結局わからない。 優しい時と容赦ない時のギャップに抉られる。 体を強張らせて押し黙る私に、「ねぇ瑠花ちゃん」と、今度はにっこり微笑んで来た。
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