溺愛の始まり

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その日、早速迎えに来た翔哉に「瑠花…!」と、切なげにきつく抱きしめられた。 「藤崎に聞いた。 俺と一日デートしたいから、何とか仕事のスケジュール調整出来ないか、ってお願いされたって。 寂しい思いをさせて、悪かった。 これからは遠慮しないで、言ってくれ」 ぎゅうぎゅうにされた腕の中で、小さく溜息を吐く。 そう、なりますよね。 黒崎さんとの付き合い長いので、だいたい想像つきました。 「どこか行きたいところ、あるか?」 うーーん、ぶっちゃけ、ない。 なんて言えないし。 どこでもいいよ、は困るだろうし。 「…翔哉のことを、もっと知れるところに行きたいかな。翔哉の行きつけのお店とか、お気に入りの場所とか?」 だってそれが目的だもんね。 すると翔哉の顔が、みるみる真っ赤になった。 え、なんで?と思った途端、ああ確かに惚気てるような発言だったかもと、こっちまで恥ずかしくなる。 「あんまり可愛いこと言うな。 優しくしてやれなくなるから」 と、その日はいつもよりも長く激しくされてしまった。 デート当日は、朝10時に私のアパートに迎えに来てもらうことになった。
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