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デート
土曜日、デート当日。
アパートの目の前に横付けされた車は、いつもの黒田さんが運転する黒光りの高級車ではなかった。
同じ高級自動車メーカーではあるが、白のクーペタイプで、そこまで悪目立ちしない。
しかも、今日は黒田さんがいない。
翔哉自身の運転だった。
「そんな可愛い格好してきてくれたのか」
私を一目見て、照れた様子で手で口を押さえ、顔を背けられる。
釣られて、私まで赤面してしまった。
ただアイボリーのワンピースにパステルピンクのカーディガンを羽織っただけなのに。
普段は仕事柄、シャツと動きやすいジーンズという可愛げのない格好ばかりしているからだろうか。確かに、スカートを履いて見せたのは初めてかも知れない。
そんな翔哉だって、ライトグレーのVネックプルオーバーシャツに細身の白パンツという、普段のカッチリしたスーツ姿とはだいぶ雰囲気が違う。緩くて、甘い。
「とりあえず、乗って」
まだ照れくさそうに言われるから、こっちも少し緊張してぎこちなくなる。
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