デート

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「ははっ、すみません」 懐っこく笑う、敬斗くん。 「いやぁ、藤崎さんが言ってたアビシニアンて、本物の猫じゃなかったんですねー」 「アビシニアン?」 アビシニアンは、猫の種類だ。 大きな耳と品のある小さい顔、ぱっちりとしたお目目。 ボディはスリムで筋肉質、足先は小さく、優雅な歩き方から「バレエキャット」の異名を持つ。 私達を席に誘導しながら、「いやね、」と敬斗くんが続ける。 「この間藤崎さん来た時、『最近ボスがアビシニアンに夢中でさー、溺愛ぶり半端なくて』なんて言ってたんですよ。 てっきりボスが柄にもなく猫飼い始めたのかと思ってました」 何、それ。まさか… 「一目見て、貴女のことだってわかりましたよ」 にこ、と私に笑い掛ける敬斗くん。 「俺、一応ここのオーナーで、日野敬斗(ひのけいと)と言います。 瑠花さん、よろしくお願いします」 「え、私の名前…」 まだ名乗ってないよね? 「ふふ。藤崎さん、『ボスが、ルカ、ルカうっせんだよ』とも言ってたので。 猫の名前と思ってましたけど、やっぱりそうだったんですね」 「なんだ、そのアビシニアンていうのは、そんなに可愛い猫なのか?」 恥ずかしさに追い討ちを掛ける翔哉。 スマホで早速検索している。
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