3091人が本棚に入れています
本棚に追加
「───だから、俺が他の組からの見合いを断っているのは、そっちの世界から離れたいってのも理由にあるんだ。
藤崎が色々言ったみたいだけれど、正式に俺の女になるかどうかなんて、すぐに決めなくていい。
瑠花には俺とのことを、あまり負担に感じて欲しくないんだ。
今はこうやって、瑠花が側に居てくれるだけで、俺は満足だから」
翔哉の私を思いやってくれるその言葉に、フッと気持ちが軽くなる。
ああ、今日の妙な緊張感は、そのプレッシャーもあったのかも知れない。
今日一日で翔哉のことを知って、正式な女になるかどうかを決めなくてはいけない、と、どこかで気負っていた部分があったのだろう。
「ありがとう、翔哉。
でも、翔哉のことをもっと知りたいのは変わらないから、今日は色々教えてね」
「…そういう無自覚な発言は、俺だけにしてくれな」
翔哉が少し顔を赤らめ、私の頭を軽くポンポン、としたタイミングで、敬斗くんがお料理を運んで来た。
最初のコメントを投稿しよう!