デート

10/23
前へ
/204ページ
次へ
青みがかった乳白色のお湯に、ゆっくりと身を沈める。 「はぁ、気持ちいい…」 とろりとした感触で、ぬるめのその温度は、いつまででも入っていられそうだ。 「───瑠花」 結局一緒に温泉に入った翔哉に後ろから抱きすくめられ、うなじに唇を落とされる。 「っぁ、」 思わず、小さく声を零した。 「"ちょっと"だけ、いろんなとこにキスしていい?」 私が言った「ちょっと」を立て前に、そんなことを聞いてくる。 なんだかいじらしくて、「うん、、ちょっとだよ?」と返した。 「瑠花…可愛い」 数えきれないくらい翔哉から言われている言葉だけれど、言われるたびに胸が疼いてしまう。 チュ、チュ、と、うなじや背中、耳の後ろ、肩。 言葉通りに、いろんなところへ優しく唇で触れられ、そのもどかしさに体がむず痒くなる。 はぁ、と、吐息が漏れ、頬が紅潮し。 翔哉は口角を上げそんな私を見据え、湯の中で私を正面に抱き寄せ、自分の太腿の上に座らせた。 「"ちょっと"だけ…」 そう言いながら瞼をゆっくりと閉じ、私の唇に軽く触れるだけのキスを、何度も甘く落とす。 そのうちに、後頭部に添えられた両手が私の長い髪を愛おしげに撫で、髪の間を指で梳き、絡めていく。 深く愛されていることを実感するひとつひとつの行為に、体が徐々に反応し始めていった。
/204ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3094人が本棚に入れています
本棚に追加