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その後はちゃんとしっかり温泉を堪能し、湯上がりでまったりしているところをスタッフの方が部屋まで来てくれて、全身エステとマッサージのフルコースを受けさせてもらった。
「食材だけじゃなく、こういう人材派遣事業も始めてる」とのこと。
「瑠花にエステは必要ねぇけどな。
一応、体験ってことで」
「そんなこと、ないよ。
見えないとことか、そろそろヤバイ」
と返せば、
「全部見て知ってるけど、どこが?
触ってもわからない。肌もいつもツルツルだしな」
と、惚気でしかない発言に、施術中の女性スタッフも苦笑いだ。
もう、人前でほんとやめてほしい…!
翔哉はやはり羞恥の感情が欠落しているんだなと、改めて認識する。
エステの後は、旅館の近くの石畳の温泉街を並んで歩いた。
土産物店に可愛いネコのマスコットがあって、一目惚れしてきゅんきゅんしているところをクスクス笑われて。
「初めてのプレゼントだからもっと高価なの買ってやりたかったけど」
と、少し不服そうにしながらも、今日の記念にと買ってくれた。
大喜びで掌に載せてみたネコちゃんを愛くるしく眺めていると、めちゃくちゃ甘い視線で見つめてくる。
ほんと、翔哉は私のことが大好きで堪らないんだなぁと、自惚れでもなく素直に思ってしまった。
───じゃあ、私は?
翔哉のこと、どう思ってる?
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