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知ってる人?
「ねぇ、じゃあその死んだ人の家は? まっさきに家捜しされてんじゃないの?」
「殺されたんだからまずは警察が入ってるとは思うけど」
秀の言葉に返したものの、思わず4人と互いに視線が行き交った。
「行ってみる?」
誰とはなしに言うと湯野川が目を見開いて首を横に振った。
「ダメダメ、危ないよ」
「 もうそっち関係も家捜し終わってるよ。だから俺たちの家にまで来たんじゃないの?」
「だけどさあ」
まだ不満そうに眉をひそめる湯野川に圭吾が首をかしげた。
「それより自殺サイト云々の話も気になるんですが」
そう言われたらそうだった。うちに占いに来た友人の青木と名乗っていた奴、たぶん友人ではないだろうが、そいつが口をすべらせた自殺サイトの言葉。あれは田中さんが自殺サイトを利用いていた形跡があったということなのか。でも。
「大金が手に入って自殺はないんじゃない?」
樹が思っていることを空がぽつりと言った。
「そりゃあ殺人犯だもん、自暴自棄になるかもだけど、 お金があれば逃げるかもねえ。海外とか?」
「無理でもどこか遠くに行くかも。お金があればね」
秀に湯野川も上を見上げる。みんな考えることは同じようだ。
「持ってるでしょ、殺人までしたんだし」
圭吾が当たり前だというように頭を横に振る。
「そんなふうに見えなかったけどなあ」
またもやそんな言葉がでてきてしまう。圭吾はますます顔をしかめた。
「またですか? どこかで会ったような気もするって言ってましたが」
「お客様だったとか?」
湯野川が口をはさむ。
「それなら生年月日がわかるんだし調べたら、ってデタラメみたいだって話でしたっけ?」
「うん、一応、今までのデータを見てはみたけど一致する人はいなかった。生年月日も本当は最初に口にしたのが本当なんじゃないかと思ってそっちでも調べたんだけどさあ」
圭吾に答えた樹に秀が顔を突き出した。
「何月何日?」
樹はカバンからメモ用紙を引っ張り出した。
「あの人、13日とか14日とか言い直したけど本当は12日なんだと思うんだ。何年何月生まれかはそのままで日にちを言い換えたんじゃないかな」
テーブルにメモ用紙を置くと、秀も圭吾も空も首をかしげたが、 湯野川1人がメモ用紙を凝視している。
「湯野川?」
「もしかして知ってる人?」
ハッとした顔を上げた湯野川は恐る恐るというようにうなずいた。
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