真田利央(男)の場合

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私も生きていた頃は、オカルトや都市伝説を楽しんだものである。 近年では、陰謀論がその類の大半を占め、得体の知れない情緒に、私は振り回されていたものだ。 ところがである。 いざ死んでみると、その殆どが眉唾物で、単なる娯楽だと気が付いた。 即ち、エンターテイメントなのだ。 私は地縛霊と呼ばれるが、別にこの場に束縛されている訳ではない。 自由自在にどこへでも行ける。 フリーダムゴーストとでも、呼んでもらいたい。 ただ、私だって安息が必要だから住処も必要で、これは人間と変わりないだろう。 つまりは、地縛霊とは単なる引きこもりで、私のような所謂、 「浮遊地縛霊」 敢えて、そう呼称するのだが…は、自由な存在なのである。
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