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僕が僕であるために
僕は橘和汰
普通に生きる22歳の健全な男子
に見えるはずだ
僕には僕の中には
物心ついた頃 いやきっと
産まれた時からだろうな
僕以外の記憶が7人存在している
話し始めた頃 弟の琢磨が産まれた
両親も忙しく僕は僕の中の
この摩訶不思議を幼いなりに
悩んだ気がするが きっと無いかもだ
彼等は勝手には現れない
今なら解るが
図書館で読みたい本を本棚から
選び表紙をめくるのと同じだ
選び開いたら記憶が流れてくる
それは多分1日程度の記憶だ
まとめとかでは無くて
唯一無二の1日の記憶が流れてくる
小さい僕は寂しくなると
その中からどれか選び
眺めていたんだと思う
理解出来ない言葉も多かったし
僕は音の無い映画を眺めてる感じだ
成長していくと
これはほんとに不思議なんだと自覚した
日記に不思議を書き出したのは
小学生の頃だった
唯一話が解る人もいたが
その記憶と対話する事は無いから
無声から吹き替えに変わった感じだ
彼の背景はいつも
青い海と青い空だった
住んでる場所は沖縄県だった
両親が夏休みの旅行を
何処に行きたい?と聞かれて
何度か沖縄とお願いしたが
何故か叶う事はなかった。
中学生になると
英語が始まった 僕は
教師が驚く程に英語を理解した
いや学習したのではなく
ある日気が着いた
本の表紙をめくる時に
心の中で知りたいと願うと
どの言語も記憶の中で甦るのだ
僕は中学2年で
バイリンガルに目覚めた
それも5か国語のだ
静かに心の中に沈めたのは
能力では無く
人の記憶の副作用だからだ
いつしか僕はこの記憶が
確かな事なのか
この場所は存在するのか
全てに夢中になり調べた
そしていつか行こう
この記憶を辿る旅をしようと
それ以外何にも興味もなかった
高校に入学してからは
バイトを始めた
とにかくお金を貯めようと
両親には実に出来た息子だった
塾にも行かない
予備校にも行かない
だからパソコンを買って欲しいと
僕は7人分の記憶を
詳細に調べた
国は場所は時代は?
大学にも両親の望みを叶えた
そこまでは育ててもらった事への
感謝でしかないから
大学の合格通知を貰い
卒業旅行に、行くねと
笑顔で話して
僕は果てしない 旅を開始した
いつ終わるか解りはしない
僕の記憶の旅を
僕はどうしてこの記憶を
抱えて産まれて来たのか?
知りたくなったからだ
僕の生きる意味を
存在する価値を
僕は、どうしても知りたくなったからだ
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