a possessive boyfriend

序

「まじでお腹いっぱい」

「あんだけ食ってまだ腹減ったとか言い出したら、さすがにキレそう」

ソファーに座ってリモコン片手に、お兄ちゃんが毒吐いてくる。

いちいち突っかかってくるのだけは、気に入らない。

今年20歳になるのに、家の中に居るお兄ちゃんはいつまで経っても小さい頃のままだ。

「お母さん、そろそろ行くわ」

彼氏が迎えに来るらしい。お店まで送って貰って、出勤するのがいつもの流れって言ってた。

出勤時間が遅くても大丈夫なのは、昔から働いてる誼みなのか、はたまたビック待遇なのか。

「気をつけてね〜！」

ダイニングテーブルに頬をつけて、お母さんに手を振る。

綺麗な顔して手を振りかえしてくれるお母さんはかわいい。

お兄ちゃんはお母さんに顔を向けることもなくテレビを見つめてる。

でも手に持ってたリモコンを少し持ち上げて、お母さん側へそのリモコンをフルフル、と小さく揺らしてた。

・・・あれで手を振ったと同等だと思ってるのか？