140人が本棚に入れています
本棚に追加
カタッ、とスマホが床に落ちる音が聞こえる。
床へ視線を落とすと、震えてるスマホが目に入る。
握ってたはずのスマホが手から滑り落ちたらしい。
らしい、だなんて他人事に感じるのは、尋常じゃない量の通知に対する恐怖で、頭が働いてないからだ。
こういう時ってじわっと汗が滲むとかじゃないんだね。
血の気が引くんだ。
これだけの通知数だ。もしかしたらグループラインかもしれないじゃん!なんて考えたりもしたけど。
未だに震えてるスマホには、さっきからずっと、たったひとりの名前しか浮かび上がらない。
《高杉》
私の知らない名字。
──思いつくのは、
『理央のLINE送ったから、仕事終わりに連絡くると思う。でも合わないなと思ったら本当ブロックしていいからね。紹介成立しただけで目的は達成されてるし!』
あの、蟹ちゃんの言葉。
最初のコメントを投稿しよう!